士別と言う地方都市でジャズ専門のLIVEハウスとして十余年に渡り店を経営してきました。
しかし経営していくのは困難で閉店することを余儀なくされそうでした。
今や最北端にあるLIVEハウスの灯を消してはいけない。
そんな思いから有志を募り、新たな一歩を踏み出そう。そんな思いで「EVANS CLUB」と言う会を創設しました。
どうか応援をお願いします。
【動の「HOW MY HEART SINGS」】 「ポートレイト・イン・ジャズ/ビル・エヴァンス(リヴァーサイド)」のジャケットに映っていた眼鏡と同じもしくは同型のもので彼の横顔を捉えたアルバムが特徴的なアルバム。このアルバムに収録されている曲は比較的テンポもよく明るめのものでまとめられている。〈ハウ・マイ・ハート・シングス〉〈アイ・シュッド・ケア〉〈イン・ユア・オウン・スイート・ウェイ〉〈春の如く〉といった小粋なナンバーが続く。そして場違いかと思われるガーシュインの名曲〈サマータイム〉までも全体のムードを壊していない。前トリオから引き続いているドラムスのポール・モチアンのピアノに対しての反応が素晴らしくアルバムのキーポイントとなっている。初出の晩年まで弾くことになる〈34スキドゥー〉も実に躍動感あふれる演奏になっている。
【静の「MOONBEAMS」】 ヴォーカリスト、ニコの横顔をジャケット写真に使った「ムーンビームス(同)」はまさにエヴァンスの静的特質を捉えたアルバムでリヴァーサイドのオーナーのオリン・キープニューズにリスペクトしアナグラム化したタイトル〈リ;パーソン・アイ・ニュー〉の比類なき美しさはエヴァンス・ファン誰しもが彼の完全復活を喜んだに違いない。タイトル曲にもなっている〈ポルカ・ドット・ムーンビームス〉に顕著なようにこのアルバムのピアノに寄り添うチャック・イズリールズのベースはエヴァンスのラインを理解した上ででしゃばることなく的確にサポート。ここがすごい。どのトラックも耽美で官能的。
【キープニューズの狙い】 あくまでも店主の私見であるが、この2枚のアルバムはエヴァンスの意図したものではなく当日想いのままにトラックを重ねていたトリオを静と動に分けてリリースしたキープニューズの手腕によるところが大きい。発売はまず「ムーンビームス」が先行。それはラファロが事故で亡くなる直前にレコーディングしたヴィレッジヴァンガード・セッションをまずラファロが際立つトラックをまとめて「サンデー・アット・ザ・ヴィレッジヴァンガー(同)」を「ワルツ・フォー・デビー」より先に発売した手法と同様だ。ラファロの死の影をちらつかせるには「ハウ・マイ~」だと弱いと踏んだと思われる。実に抜け目がない。